「テクトロのブレーキは効かない」
「最低でも105に交換するのがオススメ」
なんて言葉はSNSやサイト記事で良く目にするし、自転車仲間からアドバイスされた方も多いんじゃないでしょうか?
入門用のロードバイクはコストカットのために低価格パーツが使われることがありますが、その代名詞となっているのがテクトロのブレーキ。
悪名としてのイメージから「効かない」なんて言われるけど、「実際のところ、テクトロのブレーキってどうなの?」というのが今回のテーマ。
- シマノのブレーキと比べると具体的にどんな違いがあるか?
- 実際にブレーキを105に交換して違いはあったのか?
キャリパーブレーキを交換して、感じたことを紹介していきます。
結論|グレードに注意すればテクトロは悪くない!
結論から先に述べると、テクトロのブレーキの評価は下記の2つに分かれます。
- コストカットモデル(R300番台)なら「シマノのシューに交換推奨」
- ミドルグレード(R500番台)なら「必要十分な性能を備えている」
シマノのティアグラ、105、アルテグラ、デュラエースを経験した上での答えです。テクトロはよく剛性不足なんてことも言われますが、ホイールがロックするほどの強度と制動力は兼ね備えています。
R500番台・R700番台ならば、決して質感も悪くはないし、重量も105より50g軽かったりします。
悪いイメージが先行しているテクトロ
R312に代表されるローエンドモデルと、105と同じ性能をもつR500番台以上のモデルが、ごっちゃに比較されているため、テクトロが正当に評価されていない現状。
悪いイメージが先行しすぎているというか、色眼鏡で見られているというか。
R312は溶けた金属を型に流して成型した鋳造。R540は固体の金属を叩いて成型した冷間鍛造という製法を用います。
冷間鍛造の方が、強度に優れ、剛性の高さに繋がります。
シマノの105も冷間鍛造なので、テクトロとシマノのミドルグレードは、同じ製法ということになります。
そもそもメーカーは安全性を検証しているわけで、命に関わるブレーキがそれほど粗末なはずはないんです。(ただし、シューの交換は必須)
もちろん「シマノより良い」と言っているわけではありませんし、個別に買い替えるなら、トータルバランスからシマノの105を推奨します(^_^;)
テクトロのキャリパーブレーキを使ったインプレ
テクトロが付いていたGIANTのロードバイク。
入門用の柔らかめのカーボン素材を使った自転車で、コンポーネントはシマノの105(5700シリーズ)がアッセンブルされていました。
- シフトレバー、フロントディレイラー、リアディレイラー、クランクは105
- チェーンがKMC
- スプロケがティラグラ(105の下位グレード)
- キャリパーブレーキがテクトロ
ブレーキの「効き」が悪いとは思ったことはりませんでしたが、レバーの「引き」は確実に重たかったです。この「引き」の重たさをテクトロのせいと思い、早々にシマノの105に変更したのですが、これが大きな間違いでした。
※実は引きの重たさはシマノ(ST-5700)のせいだった・・・。
テクトロのブレーキ性能についてのインプレ
標準装備されいるテクトロのブレーキ性能に不満はありませんでした。「悪い」「効かない」「危ない」と思ったこともなかったですし。
レバーを握れば、シューを装着したカートリッジがホイールに接触し、シュルシュルと減速。
その状態から更にレバーをぐっと握れば停止。パニックブレーキのときはホイールがロックするぐらいの固定力はあったように思います。
クロスバイクのVブレーキと違い「ガツンッ!」と効く感じではありません。
ロードバイク特有のスピードコントロールを重視した「良くも悪くも普通」というイメージでした。
テクトロのブレーキは「引き」が重かった
そうは言っても、納車から気になっていたことが1つだけありました。それはブレーキレバーの「引きの重さ(固さ)」について。
レバーを握ったときに「ゴリッ」としたあの感じ。なんか「抵抗の負荷」」があるあの感じ。
ロングライドやアップダウンの多いコースだと、過度に握力を使い、指がプルプルとなることも・・・。
そういう体験談と、ネットのレビューやインプレから自然と「テクトロ=効かない」と思い込むようになっていきました。
ブレーキをシマノの105に交換した理由
私がブレーキを105に交換したもう1つの理由、それが「シマノ」と言うブランドイメージ!
「カンパニョーロ」「スラム」と並び3大コンポーネントとしての安心感から、性能うんぬんとは別に、単純に物欲が刺激されたわけです。主要なパーツは105なのに【一部のパーツがコストカットのための代替品】というのが、気持ちよくありませんでした。
要するにフル105にして、趣味としての自転車、ロードバイクの所有欲を満たしたかったんだと思います。
リムブレーキ最新版のBR-R7000。
円安やコロナでの供給不足を鑑みたら、さらに入手困難になるかもしれません。値上がりしたばかりですが、欲しいなら確保しとくべき。
キャリパーブレーキをシマノ105に交換してみて
当時のSTIレバーはST-5700(3世代前)、ブレーキはBR-5800(2世代前)という状態。
販売価格は税込価格5,377円×2個。リアとフロントの重量は379g。
テクトロR540の329gから50gの増加となりました。(テクトロのほうが軽いことにビックリしました)
根元部分の厚さがテクトロよりしっかりしているので、ブレーキングでたまわない物理的な剛性感はあると思います。
シマノのブレーキへ交換|ファーストインプレッション
メンテナンス本を見ながら自身でブレーキ交換。
「シマノのブレーキは良く効く」というネットの評価にワクワクしながら、近所を試走してみました。
交通量の少ない道を加速して減速。加速して減速を繰り返し思ったことは「う~ん・・・違いが分からない・・・」でした。
いや正確に言うと軽くなったような気もするし、効きも良くなったような気もする。けど、これはプラシーボ効果の範疇じゃなかろうかと思う程度。巷にある「うひょー!105最高!!」っていうのを期待していただけに、ちょっとガッカリ。
「最低でもブレーキは105以上」とか「105はテクトロとは別物」とか、あの意見は何だったんだ・・・。パーツ代10,000円(工賃は別)の費用対効果はなかったですね。
ただし、グッとレバーを握りこんだ後の感覚、シューがホイールに擦れてシュルシュルと減速していく感覚は、105のほうが良かったです。(※後述するが、これはシマノのブレーキシューのおかげ)
ホイールへのシューの食いつきが良くなったと言えば、伝わるでしょうか?
シマノでもブレーキの「引き」が重かった
キャリパーブレーキの本体のみを交換したので、ブレーキケーブルは全く触っていません。
つまり、比較状況としては全く同じ。
レバーを引いた時の「もっさり感はしっかりと残って」いました。
当時のブログ記事は、いかにケーブル回しの負担を減らしてスムーズにするかで溢れかえってましたから。
販売促進のためのサイト記事でも、遠回しに「重たい」と言っている始末でした(*´з`)
ブレーキ性能を構成する「効き」と「引き」
「引き」はケーブルの取り回しやケーブル内の抵抗が影響しますし、「効き」はブレーキ本体の剛性感やブレーキシューに影響されます。
「重たい重たい」と思っていたテクトロのブレーキ。実はシマノのSTI(105の5700シリーズ)が原因だったという事実に気がつかされたんです。
それまで私は「ブレーキの効きの悪さ=キャリパーブレーキの性能」と勘違いしてのですが、実は色々な要因があったんですね~。
ひとえに「ブレーキが効かない」といっても、原因は様々。
疑ってごめんよ、テクトロ(´;ω;`)
- 体重が軽い人より、重たい人のほうがブレーキが効かない。
- 握力の強い人より、弱い人のほうがブレーキが効かない。
- ブレーキレバーの位置(遠い・近い)でも必要とする力は違う。
- ブレーキケーブルの抵抗具合によって「引く力」も違ってくる。
男性か女性か?やせ型か肥満体か?手が大きいか小さいか?握力があるかないか?という身体的特徴から、シフターの性能・ケーブルの抵抗具合など、気を付けるポイントは多くあります。
レースをしない私にとって、ブレーキ性能の差を気にする前に、チェックする箇所が違っていたというオチでした。
STIレバーを別の物に交換したら、引きは改善されましたとさ。
「テクトロ=悪」は付属するモデルによる
要するに、「テクトロ=効かない」というイメージがあるのは、最底グレードのイメージが一人歩きしてしまっているからなんです。
「テクトロのブレーキは効かない」のではなく、「テクトロのエントリーグレードのブレーキは効かない」というのが正解。
多くの人が、「テクトロの入門モデル」と「シマノの中級モデル」を比較してるわけですから、そもそもの前提が間違ってますよね~。
オススメ!ブレーキシュー交換でテクトロの制動力をアップさせる
「テクトロのブレーキが効かないのは入門モデルだから」というのは分かってもらえたと思いますが、「ブレーキ交換のための出費は嫌」とは思いませんか?
壊れてもいないし、不具合があるわけでもない。ただちょっと「効き」に対して不満がある人に試して欲しいのがコチラの方法。
というのも、テクトロに付属するシューはプラスチックのようにカチカチ。指で曲げてもあまり湾曲しません。安いブレーキシューはコスパを良くするため「硬く効きが悪い」です。全然減らないので、長持ちはしてくれるんですけどね~💦
一方で、105以上のブレーキシューは柔らかく、触るとグニグニしてゴムらしさがあります。レースを想定したシューは「柔らかく削れやすい反面、ブレーキの効き」が良いです。スピードコントロールするための特性ですかね。
カートリッジ式(船付き)なら、ブレーキシューのみの交換で十分。
一体型ならば、カートリッジ式(船付き)に交換したほうがコスパは良いです。
ブレーキシューは消耗品であり、必ず交換時期がやってきますから、その際にアップグレード!
制動力アップのために、ブレーキシューだけをシマノ製に交換してみてください。
まとめ|テクトロのブレーキをシマノ105に交換してみて
テクトロのブレーキを交換してみて分かったことは、ブレーキ本体が悪いのではなく、付属しているブレーキシューの性能が悪かったという点。
耐久性を優先するかわりに、ホイールへの食いつきを犠牲にしていたんですね。
ポタリング、サイクリング、通勤・通学など日常使いならば、テクトロのままでも十分です。
そもそも「停まれない」ような危険な物をメーカーが発売するはずないですもんね。
逆に、1日中、自転車の乗る「ロングライド、ブルベ、耐久レース」などの場合には「105に交換するのはアリ」だと思います。
「ブレーキをかける回数が多い=事故に遭遇する可能性が高まる」ので、制動距離を数十センチでも短くすることには意味があると思います。
ブレーキ本体をすぐに交換する必要はありません。
私はブレーキのカートリッジ(船付き)、またはブレーキシューのみの交換をオススメしたい。本体交換ならば10,000円以上かかるところ、シュー交換ならば1,500~2,000円程度で済むので。
差額をロードバイク貯金に充てたり、パーツ購入に充てたりするのが個人的には「有意義かなぁ」と思う次第です。
私のように物欲が爆発して「とにかく欲しい」となった場合は、止めはしません。シマノを所有する満足感や所有欲は満たされますよ~。
・・・・趣味ってそういうものですもんねっ!好きな物買えばいいんだよねっ!
あっ、玄関のチャイムが鳴った。注文したパーツが届いたかもっ!
それでは、今回はここまで。
最後までブログを読んでくださり、ありがとうございました。
コメント
ランキングからお邪魔します。
以前からときどき覗いてましたがコメントは初めてになります。
僕の自転車も完成車のときはテクトロでした。
カートリッジごとシマノに交換していくらかブレーキの効きは向上しました。
暫くは満足してたんですが・・・
一年ほど前にR8000アルテグラに交換したらブレーキのタッチフィーリング、疲れにくくなりましたね。
最初は105でいいかなぁ~と思ったのですが価格差もそれほどでもないのでアルテグラにした次第です。
ディスク時代になりつつありますがリムブレーキが好きなのでまだ暫くはリムブレーキでいきます(笑)
コメントありがとうございます。
ちょっとのカスタマイズのつもりが「どうせなら」と良いパーツが欲しくなっちゃいますよね~。
私もリムブレーキが好きなので、まだまだ現役です。
はじめまして。自分はデフォルトで付いていた4600からR7000に交換したのですが剛性感はかなり上がっている様に感じました。自分の走りではこのレベルで十分な性能だと思っています。しかし昨今は新品価格が高騰して大変ですね、自分は中古パーツ店のサイトに出る完成車外しのR7000ブレーキを購入しました。前後セットで¥5000以下はお値打ちでした。
コメントありがとうございます。
仰る通りで本当に良い製品ですよね~。
ただ、新品や中古相場の高騰はユーザーにとって辛い時期になっちゃいました。
シマノ系は剛性がメインになってくるのでワイヤー引きの場合はタッチが固いかもしれません。私の場合、タッチが柔らかい(ブレーキ本体がたわむ)ものが好きなためカンパニョーロのスケルトンブレーキを愛用しております。スケルトンブレーキはワイヤーの取り回しが複雑ではないため引き量にも影響するのでしょうが、タッチ感でかなり好き嫌いが別れると思います。
コメントありがとうございます。
好みによって、選択肢の幅が広がるのはユーザーにとってはありがたいことですよね~。