自転車のチェーンというものには寿命があります。現在ロードバイクで主流の11速だと約3,000km。
スポーツバイクだと簡単に100kmを走れてしまいますので、約30回のロングライドで寿命を迎える計算になります。
毎週1回走ったとして約半年。よく走る方だとそれ以下の期間でチェーン交換が必要になってくるんです。
そこで気になってくるのが、チェーンに対してのコスパ。
作業自体は簡単ですので、自身で交換を行えば、1回ごとに工賃を浮かせることができます。
お店のチェーン交換:工賃のみで1,500~3,000円の料金体制。
自分でチェーン交換:無料(工具を揃えるのに1,000~3,000円必要。)
簡単といっても専用工具を使うため、初期費用は必要です。
ただこれらはAmazonで普通に入手できるし、そんなに高くないので、お試しで買い揃えるのもアリだと思います。
一度、自分でやってみたら拍子抜けするほど簡単ですよ~。
自転車のチェーンの種類と選び方
11速チェーン「CN-HG901-11」を使用
私のロードバイクは、11速のコンポーネントなので、「11速用のチェーン」を使用。
ご自身が普段乗られている自転車のリア変速段数(8~12速)に合わせて用意しましょう。
チェーンの段数に注意(8速、9速、10速、11速)
一見同じに見えるチェーンでも、段数が違うことには注意してください。クロスバイクなら8~9速、ロードバイクなら10~11速、それぞれの規格に合う物を選ぶ必要があります。
その他に表面のコーティングによってグレードも分かれています。「錆びにくい」「ツルツル」などの違いによって値段も高くなりますが、造形的な構造は全く同じ。
「コンポは105までで十分、消耗品はDURA-ACEを使用」という風に言われることがありますが、ご自身の状況に合った物を選んでOK。
ただ、消耗品のチェーンやケーブルって乗車時のフィーリングに関わるパーツですから、予算が許すなら高価な物のほうが精神的な満足度は高め。要するに自己満足ですね!(^_^;)
チェーンを繋げるためのチェーンピン(コネクトピン)
チェーンは輪っかにする必要があるので、最終工程でリンク同士を繋ぎとめるために必要となってくるピンです。釘のような形をしており、真ん中にある線で折ります。
コネクトピンやアンプルピンと呼ばれることもありますが、同じ意味。
後述のミッシングリンクを使う場合は不要ですが、ワンセット持っていると便利です。
何回も脱着できるワンタッチのミッシングリング
チェーンのワンタッチ脱着が可能なKMCのミッシングリンク。(写真左)
シマノからも類似品が発売されており、クイックリンクと呼ばれています。(写真右)
KMCとシマノの物がありますが、元祖のKMCがオススメ。再利用が可能で、頻繁にメンテナンスをする場合、手間を省けます。(ちなみに購入時期により再利用不可のものもある)
9速用、10速用、11速用があるので注意してください。
シマノのクイックリンクは、KMCが構造の特許を持っていて、そこを回避しながら製品化しているため性能があんまり良くないイメージ。
チェーン交換に使用する専用の自転車工具
ロードバイクのチェーン交換に必要な工具は、Amazonで購入すれば、だいたいどれも500~1,000円程度と激安です。だいたいが中華性。
シマノ純正を使っていた時期もありましたが、安いもので十分の精度と性能でした。
チェーンカッター|切ってつなげる役割
チェーンを切るための工具です。チェーン交換するなら必須の道具!
初回にミッシングリンクを導入する場合にも必要になります。
昔は、シマノのチェーンカッターを使用していましたが、今はコチラを使ってます。
特に不満なく活躍してくれていますが、ピンを押しだすためのハンドルがただの鉄柱なので若干手が痛い気もする。
家族で自転車に乗っているなどメンテナンス回数の多い人は、シマノのチェーンカッターのほうがいいかもしれません。取っ手が樹脂で形成されているので、手への負担が少ないです。
機能はハンドルを回してピンを抜くことですので、性能的な違いはあまり感じませんでした。
チェーンフッカー|作業のしやすさ向上
チェーンをつなげる時、保持しておくための工具です。PWTだとチェーンカッターに付属していました。
ピンを脱着時にチェーンが暴れないように、作業の最初と最後に使います。
針金でも自作は可能。
ミッシングリンクプライヤー|ワンタッチ脱着
ミッシングリンクは手で脱着可能な場合もありますが、基本的にはかため。
9速~10速などは素手で着脱できますが、11~12速だと専用工具がないと取り外しがキツイです。
そういうときに使う工具。
逆にミッシングリンクをハメるときは、荷重のかかる状態でペダルを踏み込むだけでハマります。
バイクスタンド|メンテナンスに必須
様々なメンテナンスに活用できるバイクスタンド。
高価なスタンドでなくとも、安価なディスプレイスタンドで十分。
後輪を外して、作業をしたい方は、ミノウラのチェーンステー保持タイプがオススメ。(写真右)
【初心者でもできる】自転車チェーンの交換方法
【チェーンの取り外し】
まず、チェーンフッカーをチェーンの溝に取り付けます。
こうすることによって、チェーンを取り外しても、テンションを保持できます。丁寧に作業すれば無くても困りませんが、ディレイラーのバネが抵抗になるため、あったほうが作業はやり易いです。まさに縁の下の力持ち。
チェーンカッターに付属する物でも、物置にある固い針金でも、フック状の物なら何でも代用はできますからね~。
この時にチェーンの位置を「インナー×トップ」にしておくこと。
「前が軽い×後ろが重い」の組み合わせです。
チェーンテンションが緩い状態なので、チェーンが暴れることを防ぎます。
選択1:チェーンピン(コネクトピン)の場合
通常のパターンはこちら。チェーンピンを外します。メリットとしてはしっかりと強度を出せること。デメリットはチェーンの取り外しが困難になること。
チェーンカッターの凸凹にチェーンをセットし、右手のハンドルを回す。
チェーン同士を接合している中央のピンを押し抜きます。
万力の要領で、ピンを押し出していきましょう。グリグリグリグリ~。
負荷が無くなり、クルクル回れば、ピンは貫通しました。
選択2:ミッシンクリンクの場合
メンテナンスを頻繁にする人はこちらのパターンが多いかと思います。
プライヤーをセットしてミッシングリンクの取り外し。
リンクの両端に差し込み、グリップをギュッと握るだけ。
カチッという音とともに固定が解除されますので、スライドして取り外しましょう。
この工具はここだけの出番です。
ここがチェーンフッカーの最大の見せ場。
左右のフックにテンションがかかりチェーンの位置を保持してくれています。
これがないと勢いよくチェーンが外れて、カーボンホイールに当たってヒヤヒヤすることも(^_^;)
取り付ける時は、最初にこのような状態にしておきます。
【自転車チェーンを交換するための長さは?】
スプロケットの最大歯(A)と、チェーンリングの最大歯(C)に、チェーンを取り付けて、
最短で繋がる位置(B)から余剰分として画像の(z)。
「アウターローの長さ」「+2リンク」がこういう状態。
ギア周りを変更して、初めてチェーンの長さを決める方は画像を参考にしてください。
これがシマノが推奨する長さの決め方です。
※正確に言うとフロントトリプルやスプロケ32Tの場合は違いますが、これがスタンダードな決め方。
【チェーンを前後のディレイラーに通す】
ポイント1:刻印を見てチェーンの裏表を確認
これ、私は知らなかったのですが、シマノのチェーンってモデルによって裏表があるのご存知でした?
変速性能を獲得するために裏表でカット方法が違うみたいですね。
しかもややこしいのは裏表がないモデルも存在するということ。ただし、見極め方を理解すれば凄くシンプル。
- 刻印があるほうを外側にしてください。
取り付ける前には、チェーンプレートの裏と表を見てください。両面に刻印がなければ何も気にする必要はありません。
「HG」とか「SHIMANO」など、なにか刻印があるほうを「外側」にしましょう。
裏表でカット具合が違うということは、変速性能に影響があると思われるので、これはぜひ覚えておいてください。
ポイント2:チェーンに進行方向があるので向きを確認
シマノのチェーンには「向き(進行方向)」の指定もあります。
こちらは変速性能というわけではなく、力のかかり方について。
見るべきポイントはインナープレートとアウタープレートの2つ。
チェーンの回転方向に合わせて、下記になるようにしてください。
- 引っ張る側(前側)がインナープレート
- 引っ張られる側(後側)がアウタープレート
ギアにチェーンを取り付けて作業をした場合、チェーンラインの下段では、左側が進行方向。
矢印の方向に動くので「インナプレートでアウタープレートを引っ張る」と覚えましょう。
【リアディレイラーで失敗しやすいトラブル】
脱落防止用の板(またはピン)というものがあるのですが、この存在を知らないと外側を通してしまいます。
必ずプレートの内側をチェーンが通るようにしてください。
これに気が付かず、外側にチェーンを通したら?
自転車を漕いだときにガリガリ~という異音が・・・。えぇ、もちろん私も経験しました。
【これが最後の工程:チェーンを結合する】
チェーンの長さも決め、取り付け注意を出来たら、いよいよ、チェーンをつなぎます。
外す時と同様にチェーンフッカーを使用。
取り付ける方法はチェーンピン(コネクトピン)とミッシングリンクの二種類。
自身のスタイルにあるほうを選びましょう。
選択1:(チェーンピン)コネクトピンの場合
チェーンピンをチェーンプレートの穴に差し込んでセットします。
このとき、向きに注意してください。
尖ってるほうが、車体の内側になるようピンを差し込みます。
チェーンカッターをセットし、ハンドルを回してピンを押し込みます。
取り外すときと同じ要領で、グリグリグリグリ~。
ピンが規定の位置まで押し込まれると手ごたえが軽くなります。それを感じたら押し込むのをやめましょう。
飛び出しているピンは、チェーンカッターの穴やペンチを利用して折ります。
「ピン」で結合した場合、プレートと馴染んでないことがあり、チェーンの動きが渋いことがあります。これはうまくハマってない証拠です。
その場合は下記を試してみてください。
- チェーンを押したり、引っ張ったり、曲げたりして物理的に矯正する。
- ピンにチェーンオイルを差して、動きを滑らかにしてみる。
- 上記2つを試してもダメなら、ピンが行きすぎている可能性があります。
反対からチェーンカッターで押し返してみてください(ただし非推奨)。
1コマが固着したままだと、ペダリング時に異音になりますし、ダイレクトに動きが伝わりません。
スムーズかどうか確認してから、使い始めましょう。
選択2:ミッシングリンクの場合
こちらの方法が工具は必要ありません。KMCのミッシンクリンクをスライドして取り付けだけ。
この状態では、またロックがかかっていません。指でスライドさせて終わりです。
ピンが固い場合、ミッシングリンクがチェーンラインの上段にセットし、足でクランクを踏み込むとカチッとハマります。
シマノの場合、矢印が進行方向になるように取り付けてください。
これでにてチェーンの交換は終了。
後は、問題なく変速するか、ペダルをちゃんと漕げるか近場を試走してみましょう。
まとめ:ロードバイクのチェーンを自分で交換できる
作業自体はとても簡単だと思います。
途中の工程で、「長さ」「向き」「裏表」「通す場所」気を付けるポイントが沢山あったように感じますが、いかがだったでしょうか?
自身が無い方は、自転車屋に依頼してもいいかもしれません。チェーン代金とは別に2,000~3,000円の工賃で交換してくれるはずです。
ただ、ディレイラー調整のように難しい手順は必要なく、スプロケやクランクに応じて長さを決めるだけです。あとは、慎重にチェーンを通していきましょう。うまくいってなかったら、異音がしたりスムーズに回らないのですぐに分かります。
購入する道具に関しても、高い物はないので、1度お試しで購入してみるのもオススメです。プロショップに依頼する工賃で元はとれますよ~。
コメント
チェーン長さの決め方:その他方法を一つ。
フロントアウター/リア11段なら6段目に掛けた状態でガイド/テンション各プーリーが縦垂直に並べば適正コマ数となります。ご参考にどうぞ。
コメントありがとうございます。
そういう方法もあったんですね~。
始めて知りました。