おおよそのサドル高(シートポストの高さ)が決まったら、サドルの前後位置と角度の微調整を行いましょう。
ただし、変速調整などと異なり、乗車ポジションは明確な正解がないもの。
体格や好みのギアによって、サドルの位置は自ずと違うものになります。
「このようなに乗りたい」という目標に向けて、試行錯誤できるようサドルの調整方法をご紹介します。
サドルレールで前後の位置調整をする
©ロードバイクメンテナンス入門 P55
クランクを水平にした状態で真横から見るのが、サドルの前後位置を決めるオーソドックスな手法。
ペダル軸の真上に膝の皿がくるぐらいが標準的な前後位置となります。
糸に5円玉を垂らし、膝とペダリング軸との関係に注目すると、1人でも客観的に位置を決められるでしょう。

クッションとシートポストを連結するサドルレール。
赤四角で囲んだ範囲で、前後にスライドさせます。
レールにメモリがプリントされている製品もあるので、自身の基準となる数値は覚えておくほうが便利。
ピラーによって調整方法が異なる
シートポスト(シートピラー)のヤグラ部分のタイプによって、調整方法は異なります。
自分のロードバイクがどのような製品かを確認して作業しましょう。
1本締めタイプ。
サドル裏からの1本締めタイプは、最もオーソドックスなもの。
6mmの六角レンチで固定ボルトを緩めれば、前後位置と角度調整ができる。
2本締め式
前後2本のボルトで固定しているタイプは、両者の締め具合で角度調整を行う。
角度の微調整がしやすいのが特徴で、前側の締め付けを強めにすると前傾、逆に弱めると後ろに傾く。
サイドクランプ式
カーボン素材のロードバイクに多いタイプがサイドクランプ方式。
横からボルトで固定していて、緩めるとヤグラが関節のように回転する。
サドル前後位置がペダリングに及ぼす影響

調整方法はアーレンキー(六角レンチ)でボルトを緩めるだけ。
ここで注意したいのは、上下のボルトの向き(天地)。
天側からみたら逆ネジになるので、緩めるには時計回り。地側からみたら正ネジになるので、緩めるには反時計周りになります。
パワー重視な前乗り

サドルを前に目いっぱい出すと、クランクをクルクルと高回転させやすくなります。
ヒルクライムのように、山や坂を一定のリズムでペダリングをする場合に有効。
ママチャリの立ち漕ぎのようにパワーをかけやすく、なおかつ高ケイデンスを保ちやすいので、山を登るときはこのセッティングが楽な気がします。
近年では世界の選手をはじめ、新城幸也選手などが「シートポストを最大限に高くして、サドルを前に突き出す」ポジションをしているとか。
スタミナ重視の後ろ乗り

反対にサドルを後退させると、大腿骨裏側からお尻にかけてのハムストリングを活用しやすくなります。
太ももの筋肉は、人間の中でも大きな筋組織で、スタミナ抜群!
大きなパワーを長時間キープしやすく、平坦基調のロングライドに向いています。
サドルの角度調整|上下に動かす方法

私のロードバイクは、1本式に見せかけて、実は2本式。
前側のボルトを締めたり、緩めたりして、サドル先端の向きを上下させます。
サドルの角度は水平が基本

水平が基準となるのは、骨盤の位置が安定しやすくなり、膝のスムーズな上下運動が可能になるからです。
水平器やスマホを使って、0度になるように調整しましょう。
局所的な痛みが発生する場合は、そこに圧力がかかっている証拠なので、微調整を繰り返します。
まぁ、これが「サドル沼」と言われる恐ろしい現象の始まりになるんですけどね~・・・。
前下がりのサドル

陰茎部に圧迫感を感じる場合は、サドル形状が股の裏側を圧迫しているかもしれません。
サドルを前下がりにすれば、座骨側(お尻の後ろ)で体重を支える割合が多くなるので、痛みは解消できるでしょう。
あまり下げると、お尻の安定感が無くなり、前にズリ下がるので注意してください。
前上がりのサドル

逆に、サドル先端の向きを前上がりにすると、骨盤がズレるのを防止できます。
サドルを後方にしている人が、このポジションを好んでいるようなイメージ。
しかし、あまり上げするぎると痛みの原因になるので気を付けましょう。
サドルの位置が決まったら本締め

サドルポジションが決まったら、ボルトの本締めを行いましょう。
ここでも使う物は、アーレンキー(六角レンチ)のみ。
締めるのが簡単だったように、締めるのも簡単。ただし、ネジの向き(天地)だけには気を付けて。
ロードバイクのポジションを調整してみて

さて、いかがだったでしょうか?
シートポストと同様にボルトで簡単に調整できるのですが、ポジションに直結することなので、実はかなり重要という事は伝わったでしょうか?
- 傾向として、重めをギヤを踏みたがる人、ケイデンスを上げたくない人は、後退させたサドルポジションと相性が良い。
- 逆に軽めのギヤをクルクルと回したい人は、前に出したポジションを好むというのが一般的。
ただし、ちょっとまたがっただけや、近所を試走した感覚だけでは「ポジションの良し悪し」を判断することは難しいんです。
自身のライフスタイルや目標に向けて、理想のポジションを試行錯誤する。
それが積み重さなっていくと、いつの間にか身体に染み付く。逆に無理をすると違和感が痛みに変化したりと一筋縄ではいかない問題でもあります。
仕組みと傾向を理解して、自分好みにサドルの位置と向きをカスタマイズしてください。このような悩みもロードバイクの楽しみの1つなのかもしれませんね~。
それでは、今回はここまで。
最後までブログを読んでくださり、ありがとうございました。
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