【105の名を借りたデュラエース】R7100の価格と重量を上位機種と比較してみた

サイクルパーツ

こんにちは、サラピエです。

新型105の発表から1日、セミワイヤレス化に伴う高価格化に賛否両論ありますね~。

私も未来感のあるガジェットとしてワクワクを感じる一方、高価格な105に否定的な思いを禁じえません。

前回は新型105(R7100)の特徴について軽く触れるだけでした。今回は上位2機種との「価格&重量の比較」をしながら、私見を交えていこうと思います。

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自転車のコンポーネントとは何か?

©SHIMANO

自転車一台を構成する主要パーツの集合体を「コンポーネント」と呼びます。

変速系統のシフターや前後ディレイラー、駆動系統のクランクやスプロケット、ブレーキなどからなるパーツたちの総称なんです。

省略して「コンポ」と呼ばれ、覚えるメーカーはたったの3社のみ。

  1. 日本のSHIMANO(シマノ)
  2. アメリカのSRAM(スラム)
  3. イタリアのCampagnolo(カンパニョーロ)

105は、シマノのロードバイクコンポーネントになります。

105はコスパに優れるコンポ「だった」!?

  • DURA-ACE(デュラエース)9000シリーズ
  • ULTEGRA(アルテグラ)8000シリーズ
  • 105(イチマルゴー)7000シリーズ
  • TIAGRA(ティアグラ)4000シリーズ
  • SORA(ソラ)3000シリーズ
  • CLARIS(クラリス)2000シリーズ
  • Tourney(ターニー)A070シリーズ

シマノのロードバイク向けコンポーネントは7つに分かれています。

一番上のデュラエースはプロが使用するハイグレード。一番下が街乗り用のグレード。

グレードのランクが高くなるほど「高性能・高価・軽量」になります。

わざわざパーツの単体買いするのは、ティアグラまで。ソラ・クラリス・ターニーは完成車に取り付けられていて、その後、交換される運命のグレードです😅

今回の主役となる105はロードバイク用のコンポとして上から3番目(サードグレード)

価格と性能のバランスがよく、コスパに優れています。憶測ですが、一番ユーザーが多いんじゃないでしょうか。

レースに参加するなら最低でも105」と言われるほど優秀で、15~20万円台のロードバイク完成車に採用されています。

新型105(R7100)は12速化・セミワイヤレス化

©SHIMANO

自転車の変速機を動かす物と言えば、昔から「ワイヤー」です。

機械式」「ワイヤー引き」とも呼ばれ、シフターとディレイラーを物理的に繋ぎ、ワイヤーの引き量によってパーツを動かす構造。

そんな「当たり前」の考えに風穴をあけたのが、2016年に発表されたSRAM(スラム)のワイヤレス変速システムでした。

RED eTAP」は、シフターから電波を飛ばし、電波を受信した前後の変速機が動くというもの。

価格はフルセットで328,930円。eTap変速機セットで197,000円。

次にワイヤレス化を実現したのはカンパニョーロ。

そこから遅れに遅れ、シマノはかなりの後発組。デュラエースとアルテグラがセミワイヤレス化したのは2021年9月でした。

無線化は「ワイヤレス」「セミワイヤレス」の2種類

・・・ん?

ここでちょっと疑問に思う事がありませんか?

疑問の声
疑問の声

セミワイヤレス」って何?
ワイヤレス」との違いは?

実は、無線化と一口に言っても、大きく分けて2種類の方式があります。

無線化の元祖
まずは、スラムのワイヤレス方式(フルワイヤレスとも呼ばれる)

これはシフター・フロントディレイラー・リアディレイラーの3つが完全に独立

スラムの特許で、FDとRDのそれぞれにバッテリーが搭載されています。

無線化の後続
カンパニョーロシマノは、その特許を回避する形でセミワイヤレス方式を開発。

シフターと前後ディレイラーは分離しているものの、バッテリーと前後ディレイラーが配線コードで繋がっています。(カンパはRDがセミ、FDがフル)

つまり、ワイヤーは無くなるけど、配線コードが増える形に。

それぞれ一長一短ありますが、ユーザーとして心躍るのは、スラムのフルワイヤレスのほう!

デュラエースもフルワイヤレス化が望まれていましたが、大人の事情でセミワイヤレスになっちゃったんですよね~😥

ここで思うのが、シマノのセミワイヤレス化は、カンパの特許を回避する形で作られたと想像できます。スラムのワイヤレス技術を回避して、カンパのセミワイヤレス技術も回避。

そんなものが、プログレードのデュラエースなの?

状況を考えらた、機械式(ワイヤー式)12速を20万円で出しているほうが売れたと思うけどなぁ~。

SHIMANOのワイヤレス変速システムを比較してみる

シマノ R9200/R8100/R7100 シリーズの価格まとめ

シマノ製品を無線化するにあたり、コンポ以外にも必要な物があります。

それが上記緑セルの「バッテリー・コード・充電器」の3つ。

これはどのコンポにも必要で、初期投資にはプラスで35,000円が必要となります。

新型105の総額は約168,000円。電気類のパーツを合わせて20万円を超える構成。

特に高いのは無線機を搭載するシフターと前後のディレイラー、3つ合わせて110,000円なり。

それ以外のパーツは機械式(ワイヤー式)とそんなに変わっていません。

  • デュラエースは約415,000円、価格差は約25万円
  • アルテグラは約239,000円、価格差は約7.1万円

プロが使用するハイエンモデルとは、値段が2.5倍違う

セミプロ御用達のセカンドグレードとは値段が1.5倍違う

う~ん、バッテリ―類を含めて、20万円と27万円なら、ちょっと無理してでもアルテグラを選ぶかなぁ。デュラエースは端から手がでません😂

シマノ R9200/R8100/R7100 シリーズの重量まとめ

パーツ
デュラ

アルテ
105の重量①との差②との差
RD215g262g302g+87g+40g
FD96g110g142g+46g+32g
シフター(STI)350g391g423g+73g+32g
キャリパー230g282g282g+52g+0g
ローター212g212g242g+30g+30g
クランク(52-36)690g711g754g+64g+43g
BB54g66g77g+23g+11g
スプロケ(11-34)253g345g361g+108g+16g
バッテリー53g53g53g+0g+0g
合計重量2153g2432g2636g+483g+204g

金額の差額を理解したうえで、見ていきたいのが、コンポーネントの重量差

105(R7100)をフルセットで装備した場合、約2.6kgとなります

  • デュラエースは2.1kg。差額25万で、ペットボトル一本分の軽量化
  • アルテグラは2.4kg。差額7万円で、ペットボトル半分の軽量化

レースで生計を立てており、1分1秒を削るような世界ならば、デュラエース一択だと思います。

500gのために25万円が必要になりますが、体脂肪率を最大限に落としているような選手たちならば、意味はあるかもしれませんね~。

普通の人ならば、ダイエットしたほうが軽量化に効果があるレベル。ロングライド・サイクリング・ポタリングのアマチュアの世界ならば、105で十分ですね。

いや嘘!

105でも過ぎる代物になっています!!

新型105はデュラエースの皮を被った別物

©SHIMANO

新型105のR7100シリーズが発表されたときに1番最初に感じたのが、サードグレードとして立ち位置」の変化

105は上位2機種の性能を受け継ぎ、広く世間に普及させるモデルとしての役割がありました。

シマノが国内の戦略モデルとして力を入れており、いわゆる撒き餌モデルとしての働き。

この撒き餌で大事なのが「価格が安い割には性能が良い」ということ。

このことによって、105ユーザーが上位機種に興味をもち、どんどんと沼にハマっていくわけです。

サイクリスト
サイクリスト

「ミドルグレードの物でこんだけ良いのだから、ハイエンドの物ってどんなに素晴らしいのだろうか?」

ってね。

そうして、出来上がるのが「10万円のロードバイクって安いよね~」って言っちゃうような自転車廃人たち。もちろん、私もそのうちの一人。

信じる者と書いて、「儲」かると読みます。われわれ自転車乗りにとって、シマノは神様なのだぁ~🤪

ミドルからハイグレードへ|立ち位置の変化

©SHIMANO

ズバリ言いますが、そんな多くの廃人たちを含むアマチュアの住人には、ワイヤレス化なんて必要ありません

20万円という金額は、趣味にしては高価過ぎます。

昔ならば、プロ用のデュラエース(9000シリーズ、機械式11速)のフルセットが購入できていた金額ですし、今でもロードバイクのちょっと良い完成車が購入できる金額です。

100歩譲って、10万円ならば「普及価格帯としての無線105」にも納得もできましたが、20万円はやりすぎ!!一般人の感覚ならば、購入まで至らないよね~。

シマノは「12速のワイヤレス化を全てデュラエース相当と考えているとしか思えません。

何が言いたいか、伝わりますかね?

世界のシマノ様
「12速化&無線化したコンポは全てデュラエースとする!」
「その中で【松竹梅】と分類分けした!」

という意味です。

デュラエースの中の「デュラエース級」
デュラエースの中の「アルテグラ級」
デュラエースの中の「105級」

こう思うと、何かしっくりきませんか?

「漢の中の漢、出てこいやぁ!」状態。我々のお布施力が試されていますよ~😇

無線化の元祖!SRAMをライバル視した結果

©SRAM

普及している105のブランドイメージを捨てて、なぜこんなことをしたか?

それは、【ワイヤレス化の元祖】SRAMをめちゃくちゃ意識したからです!

ギャグではなく、スラムのライバルをライバル視しているとしか思えない当て馬っぷり。

SRAMのラインナップ

  • Red eTap AXS:50万円 ⇒ 真似をしたデュラエース
  • Force eTap AXS:40万円 ⇒ 真似をしたアルテグラ
  • Rival eTap AXS:20万円 ⇐ これをめっちゃ意識した。

新型デュラエースの時にも言ったのですが、シマノの無線化は後発も後発

そんな出遅れ感のあるシマノが、性能的にも値段的にも、すでにあるような物をリリースしてどうするの!?こんなの凡庸のかたまり。

失敗も多いけど、その分、成功を収めてきたのがシマノでしょ!?

STI(手元でカチカチ変速する方式)を世界に普及させたシマノが、ビックリするような無線システムを投入してこなかったのは残念ですね~。

安全性を100%確保して、ブレーキまでも無線化するぐらいの根性を見せてほしかった。

新型105は悪い意味でレーサー仕様になった

無線化のメリットは、極限の状況でも最小の労力で変速できるという点。

口の中が乾燥して鉄の味がするようなとき、限界まで漕いで太ももがパンパンなとき、「あ~、指動かすのもしんどい~!」っていうとき、ポチっとボタンを押すだけ

暑い中、寒い中、体力が消耗した中、長距離を高速で走りきるレーサーたちにとっては、ありがたいですよね。

でも、ちょっとまって!?

思い出して欲しい「レースに出るには最低でも105」という言葉を。

今までは、コスパの良さから105は普及して支持されてきました。

では、誰から指示されてきたか?

初めてロードバイクを買う人、パーツを少しアップグレードしたい人、つまり、購入を後悔をしたくないユーザーや、所有欲を満たしたいユーザーから支持されてきたんじゃないでしょうか?

そんなライトユーザーの言葉だけが独り歩きして、レースに出ないような私を含めて「最低でも105」という言葉に踊らされてきたのではないかと思われます。

レースで結果を残したい人は、みんな上位機種を使っていますしね~。

まとめ:SHIMANO 105 Di2は中途半端なモデル

©SHIMANO

ライバル社の製品を意識するあまり、自ら「105」というブランドイメージを崩したシマノ。今回の事で明確に分かった事があります。

  • レースをする人は12速化して無線式(ワイヤレス)を使いましょう。
  • レースに出ない人は11速の機械式(ワイヤー)を使いましょう。

当初は「105が20万円というのは高い!」という感情を持ちましたが、上記を理解すると納得できませんか?

それを踏まえた上で「欲しいか?欲しくないか?」を考えると、答えは「いらない」

私の自転車スタイルに全く合っていませんし、先ほども申しましたが、多くの人間にとって無線化は必要ありません。いったい誰がこれを買うのでしょうか?

今回の105は「レーサーには力不足サイクリストには過ぎた代物」となってしまい、中途半端な感じが否めません。

多くの人は機械式11速で十分

サラピエの用途ですと、11速の機械式で不満がないぐらい満足しています。

もっと言えばセカンドバイクに使用しているティアグラ4700(10速)やクロスバイクのXT(9速)でも不満はありません。

ちゃんとメンテナンスをしていれば、シマノ製品はりっかりブレーキが効くし、スパスパと変速してくれます。

むしろ、毎回、新製品が出るたびにレビュー記事やインプレ記事で「軽量化した!小型化した!変速がスパッと決まる!」という提灯記事にウンザリしているぐらい。

高価な費用をかけて無線化しても、デメリットはちゃんと存在します。

トラブルは機械式に比べれば増えるでしょうし、なによりバッテリーの管理が大変

乗る前に充電を忘れたら?走行中に電池が切れたら?

気軽に乗る事が出来なくなります。(実際にそういう人たちを見てきた)

R7200は「物欲を満たす」ためには高価すぎますし、「所有欲を満たす」ためにはレベルが低いですね。

そもそも、自転車の魅力って「人の力のみ」で動いていることだと思うんです。人力で早く遠くまで走って行けるってことにロマンを感じませんか?

  • 自動車では行けない場所。
  • オートバイでは通り過ぎてしまう場所。
  • 徒歩では辿り着けない場所。

そういう場所、そういう風景に出会わせてくれるのが自転車だと思うんですよ。だから正直に言うと、無線化なんて無粋だと感じてしまいます。オートバイになりそこなった「自転車のような物」には、ロマンも魅力も感じません。

それでも、あなたは電動無線コンポーネントが欲しいと思いますか?

それでは、今回はここまで。
最後までブログを読んでくださり、ありがとうございました。

コメント

  1. 通りすがり より:

    カンパEPSはセミワイヤレスではなく無線でサイコンと接続やファームウェアアップデートできるだけでですよ

  2. しろん より:

    コンポに何を求めるかは人それぞれだけど、Di2は初心者にも嬉しいと思いますよ。

    機械式でフロント変速に戸惑っていた人が、シンクロシフトで意識せずにフロント変速できたり、サイコンのページ送りができたり。
    個人的には12s化でギア比がクロスしてるのが有り難いです。

    R7100は11-36sのカセットスプロケットが用意されることからも、ターゲットはレーサーではなくホビーのアッパー層だと思います。

    問題は、高い事くらいでその他の隙は少ないなぁと思いました。

    • サラピエ サラピエ より:

      コメントありがとうございます。

      仰る通りコンポの出来は良いかもしれませんね~。

      この先、普及価格帯まで安くなってくれたら嬉しいです。

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